アスベストの危険性について
アスベストとは、天然の鉱物繊維で、別名「石綿(いしわた、せきめん)」とも呼ばれます。
アスベストは非常に細かい繊維であり、熱や摩擦、酸やアルカリといった化学薬品にも強いという特徴を持っています。
そのため、かつては建材や摩擦材などの工業用製品に広く使用されてきました。
アスベストは保温断熱や防音などの目的に有効な材料として認知されていました。
しかし、アスベストは、肺がんや中皮腫などの健康被害を引き起こすリスクがあることが判明し、現在では製造も使用も全面的に禁止されています。
ただし、過去に建築された建物の中には、アスベストが使用されたまま残っているものがあります。
アスベストの使用があるかどうかは一般人では判断できないため、専門家への調査を依頼することが重要です。
アスベストの使用用途は非常に多岐にわたり、約3,000種もの商品などに使用されてきました。
特に、建材製品には広く使われており、今でもビルや建物に残っていることがあります。
ただし、アスベストそのものが問題なのではなく、アスベストの繊維が飛散し、空気中に浮遊している状態が危険です。
アスベストの繊維は非常に軽くかつ細かいため、吸い込まれると肺に長期間留まり、肺がんや中皮腫といった健康被害を引き起こす可能性があります。
したがって、アスベストが使用されていた時代やどのような場所で使われていたのかを事前に学ぶことは非常に重要です。
アスベストの危険性について正確な知識を持つことで、自身や家族の安全を守るための対策を適切に行うことができます。
専門家の助言を仰ぐことや建物の調査を行うことで、アスベストによる健康被害のリスクを最小限に抑えることができます。
一般住宅にも使われている可能性があるのか?
一般の住宅においても、アスベストの使用がある可能性があります。
建物の構造によっては、吹き付けアスベストやアスベストを含むセメントで作られた屋根材や壁材、天井材が使用されていることがあります。
吹き付けアスベストは、一戸建て住宅ではほとんど使われない傾向ですが、マンションの駐車場などで使用されることがありますので、注意が必要です。
ただし、通常の生活では室内に繊維が飛散する可能性が低いと考えられるような、スレートボードなどの固められたアスベスト材料や壁の内部にある吹き付けアスベストは除外されます。
アスベストが使用されている住宅かどうかの見分け方
一般の人がアスベストが使われている住宅かどうかを判断するのは難しいですが、確実な判断を目指す場合は専門家に調査を依頼することが望ましいです。
石綿含有建材調査者や石綿作業主任者技能講習修了者、日本アスベスト調査診断協会に登録された専門家が、調査を行います。
しかし、専門家に依頼する前に簡易的な見分け方がありますのでご紹介します。
築年数で推測
アスベストの使用が禁止された時期以前に建築された建物には、アスベストが使われている可能性が高いです。
まずは、建物がいつ建てられたかを確認してみましょう。
アスベストの使用が始まったのは約昭和16年頃とされています。
一方、アスベスト使用の法改正は昭和50年に行われました。
これらの情報を元に、築年数からアスベスト使用の可能性を推測することができます。
アスベスト含有率に関する法改正と注意点
アスベスト含有率に関する法改正は、使用自体を禁止するものではなく、1995年に行われた改正ではアスベスト含有率が1%を超えてはいけないと厳しい制限が設けられました。
その後も2004年と2006年に改正が行われ、最終的にはアスベスト含有率は0.1%を超えてはいけないとされました。
日本における石綿使用のピークは1970~1990年代であり、この期間に建築やリフォームされた建物にはアスベストが含まれている可能性がありますので、特に注意が必要です。
国土交通省はアスベスト調査に関して補助金制度を設けていますが、利用できるかどうかは自治体によって異なります。
まずは、お住まいの地域の公共団体の担当部署に問い合わせてください。
もし補助金制度が利用可能であれば、アスベストの有無を確認するための調査が補助対象となります。
調査の結果、アスベストが確認できなかった場合でも、補助金の対象となります。
不安がある場合は、補助金制度を利用して調査を依頼してみることをおすすめします。
まとめ
アスベストの使用を判断するためには、専門家に依頼することが重要です。
また、専門家の調査依頼をする前に、住宅を施工または販売した会社に連絡して、アスベスト使用について問い合わせることも有益です。
さらに、設計図書(建築時の施工図や材料表など)が手元にあれば、アスベストの使用について記載されていないか確認してみてください。
しかし、確実な判断をするためにはやはり専門家に依頼することが必要です。
安心して生活するためにも、少しでも不安がある方は、早めに確認することをおすすめします。